2004年07月18日

阿部和重『映画覚書 Vol. 1』

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阿部和重の映画批評集。書店で覗いてみたら、スティーヴン・ザイリアン監督の『ボビー・フィッシャーを探して』を論じているのが目に留まったので購入してみた。

その『ボビー・フィッシャーを探して』評は面白かった。主人公の少年が周囲の大人たちからの期待にすべて応え、なおかつ先達の「ボビー・フィッシャー」とは異なる彼独自の生き方を示した(それらを描くことにザイリアン監督が成功した)ことを明快に論じている。そのうち作品を見直そうかと思った。(ただし、途中でザイリアンが脚本家として優れていることを論じた部分は長いわりに論証が緩くて、いくぶん寄り道になっている)

その他では、ラース・フォン・トリアーの『ダンサー・イン・ザ・ダーク』とジョン・カサヴェテスの『オープニング・ナイト』を論じた文章の着眼点が良かった。

これ以外の時評はそれほど読むところがなかった。というか、僕は例えば阿部和重らの賞賛するジョン・カーペンターの『ゴースト・オブ・マーズ』の何が良いのかさっぱりわからないので、根本的に好みが合わないのかもしれない。

余談ながら、『ホーム・アローン』よりも『ハリー・ポッター』のほうが幾分かましに見えたのは、エマ・ワトソンの見た目に騙されただけだったかもしれない(p.28)、といった記述があったりとか、対談で好きな女優を訊かれて即座に「子役時代のナタリー・ポートマン」を挙げたりというのは、『シンセミア』でロリコン警官を楽しそうに描いていた作家らしくて面白かった。(「モーニング娘。」の映画を熱く論じた項目もある)

コメント

ぷー : 2004年07月19日 22:11

お久しぶりです。
僕も読みました。 『ゴースト・オブ・マーズ』ですが、僕もこの映画がなんでいいのかよく分からないくちなんですが、中原昌也もほめてましたけど何なんでしょう?ハワード・ホークスの影響云々とか、ストーリー設定の古臭さとか、どこがいいのか分かりません。 同じハワード・ ホークスでも「遊星からの物体Xのリメークは好きなんですけどね。 あとスピルバーグの分析?も、 ん〜言いことは分かるけど、それを発見したからといって映画自体が面白くなるのかなあ・・・ 全体にいかにもクリティックという感じがして(まあそれはそれでいいんですけど)もうひとつ熱気のようなものが伝わってこないなあと思いました。 ちなみに阿部ほか著の対談本「シネコン」でもカーペンターに一章割いていて、くだけた感じで語られてますが。

OK : 2004年07月19日 22:58

『ゴースト・オブ・マーズ』は何か踏み絵っぽいですよね。個人的には、別にわからなくてもいいやと思っています。wad's映画メモ(再開を希望してるんですが……)では酷評されていましたね。
http://www.ywad.com/movies/934.html

スピルバーグの分析は僕もいまひとつ面白くないと思いました。要は個別の作品を見るときに面白くなる切り口ならいいんでしょうけど。

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