2004年07月06日
望月諒子『神の手』
失踪した作家志望の女性をめぐる話。
最近、国産の娯楽小説をあまり読んでいなかったせいか、書法に慣れるのが難しかった。三人称叙述でAという人物の視点なのに別のBという人物の内面が蕩々と代弁される、つまり登場人物の視点を借りて作者が語っている感じでどんどん進んでいく。
不在のヒロインを周りの人物の視点から主人公として描き出す、という宮部みゆきの『火車』みたいな趣向の話なので、その視点の不安定さがどうも気になった。それから、ワープロの機能をめぐっての謎解きが演出としていまひとつで冗長になっていると思う。
作家志望者の生活感、あるいは不気味さがにじみ出た描写は説得力がある。中盤あたりの、ホラーに行きそうで行かない盛り上げ方が良かった。
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