2004年07月18日

『スチームボーイ』

amazon.co.jp 2004年 / 監督: 大友克洋

主人公が宝物(「スチームボール」)をめぐる争奪戦に巻き込まれ、それを軍事兵器に利用しようとする組織に狙われる……という宮崎駿の『ナウシカ』『ラピュタ』みたいな話を、歴史上のヴィクトリア朝英国を舞台に展開するスチームパンク活劇。宮崎アニメ的な美少女が出てこないかわりに、蒸気機関などのメカ描写に凝っているのが印象に残る。

話が似通っているのでどうしても『天空の城ラピュタ』と比較してしまうのだけれど、主人公をはじめとして愛すべき登場人物が誰ひとり出てこないのに、古典的な冒険活劇をやられても盛り上がらない。作家の資質と選んだ物語の枠組みが合っていなかったのではないだろうか。作家の趣味が大暴走した迷作というわけでもなく、中途半端に売れ線を狙って外すのも考えものだと思った。

そのうち誰か『ラピュタ』風に「〜は何度でも蘇るさ!」と言い出すのではないかと見守っていたら、やっぱりそういう台詞が出てきたのでおかしかった。

これで今年公開予定の三大アニメ映画のうち、『イノセンス』と『スチームボーイ』の二本を見たことになるけれど、どちらも「いまさらサイバーパンク」「いまさらスチームパンク」と、そのジャンルに思い入れのない者からすると一昔前の流行をなぞった時代遅れの作品に見えるのは否めなかった。CGによる緻密な世界構築を見せるために登場人物が駒として動くというような、『ファイナルファンタジー』の特に「7」以降(個人的には「7」はわりと好きなのだけれど)が陥ったのと同じような物足りなさが見られるのも気になる。ということで結局、宮崎駿の『ハウルの動く城』に期待するしかないのか。

コメント

ネスカフェ : 2004年07月20日 09:08

そういえば、この作品を見たある記者が「ここに昔の
大友克洋が書いていたような、みっともないけど人間味にあふれたドラマがあればよかったのに・・」というのがありました。私は、あんまりいい読者じゃないのですが、「アキラ」以降この人の方向せいが狂っちゃったようなきがします。

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