2005-01-18

『春、バーニーズで』 吉田修一

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文藝春秋 / ISBN:4-16-323480-2 [amazon]

買い物の途中で昔の恋人と再会する。子供を連れた帰り道で若い女と知り合う。それだけだとよくある日常の風景のようなのだけれど、この作品では、その昔の恋人が「オカマ」である、子供は妻の連れ子である、といった設定でそれらが微妙にひねりのある場面になっていく。こういう「日常の亀裂」みたいな瞬間を描いて、人はそれぞれの役割を演じているにすぎない、という感じを浮かび上がらせるのはやはり吉田修一は巧いなあと思った。連作短篇集の形式が効いていて、後半の「夫婦の悪戯」「パーキングエリア」にある破局の予感のようなものが、前半の積み重ねによって面白くなるような構成になっているのもいい。

ただ、一冊の本としてはあまりに分量が少ない。新刊書店で見かけたときは、薄い本のうえに1ページあたりの文字数が極端に少ないので、正直なところ買うのを控えてしまった。(同じ文春から出ている『パーク・ライフ』もそういえばえらく中途半端な分量だった)

2005-01-18 23:10 [book] | Permanent link | Comments (0)

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