2005-05-22

『バタフライ・エフェクト』

The Butterfly Effect / 2004年 / 監督: エリック・ブレス、J・マッキー・グルーバー

おお、これは意外に悪くないドラえもん映画。たぶん趣向を何も知らずに見たほうが楽しめるので、未見の人は以下の文章を読まないほうがいいかも。

.............................

内容はいわば「『リプレイ』もの」、過去のある時点を改変したことによる展開のバリエーションと試行錯誤を見せる話で、完全に脚本主導の映画。SFでよくある定型の話を地味な(荒唐無稽でない)道具立てと暗めのリアルな映像で語り直した作品という点で、今年見た映画では『エターナル・サンシャイン』がわりと近い。個人的にはこちらの『バタフライ・エフェクト』のほうが前知識がなかったせいか面白く見られた。ただ、前半はこれをどこまで続けられるんだろうと期待したのだけれど、ワンアイディアの話なので後半は多少もたついて長く感じるのと、結末も変に教条的で少々まとめかねた感じがあるのは否めない。

主人公が精神科の治療を受けているという設定なのがひとつ面白いところで、物語上の分岐点になるのがよく「少年時代のトラウマ」として描写されがちな事件なのもそれと適合している。『ミスティック・リバー』などに代表される、少年時代の悲劇が俺たち幼なじみの運命を決定付けてしまった……という重苦しい話のパターンを、もしその事件に介入できたら運命はどう変わるか、というSF的な「if」の視点を持ち込むことで解体していく感じがある。そうすると、やはりこの映画の結末は後ろ向きで弱い気もするのだけれど。

全体に陰影の濃い映像は好み(撮影: マシュー・F・レオネッティ)。

監督・脚本のエリック・ブレスとJ・マッキー・グルーバーは、次作にドン・ウィンズロウの『ストリート・キッズ』(A Cool Breeze on the Underground)の映画化(IMDb)を予定しているようだ。ついでに、『バタフライ・エフェクト』続編の"The Butterfly Effect 2"(IMDb)の製作も企画されているそうで、まだやるつもりなのか……。[★★★★]

2005-05-22 22:43 [movie] | Permanent link | Comments (2)

声の名優百選

YAMDAS現更新履歴 - 映画史上に残る「声」百選より。映画史上で声が印象に残る俳優100人を選出した企画。選出には当然異論も出るだろうけど、あまり他で見かけない切り口の気がするので面白い。1位クリント・イーストウッド、2位オーソン・ウェルズとのこと。ホリー・ハンターが9位(現役女優だけなら1位)に入っているのは「インクレディブル夫人」効果だろうか。

上の記事には選出されてないけれど、僕が現役の俳優で声の良い人といってまず思い浮かべるのはケヴィン・スペイシーで、彼の「語り」で成り立っている作品というのもいくつかあるし、『交渉人』なんかは内容がたいしたことなくてもケヴィン・スペイシーの声が全編を通じて響きわたるだけで満足だった。

ついでに現役の女優だと、あまり言われない気がするけれどキルステン・ダンストの声がいかにもアメリカン・ガールという感じで結構好き。この人は『魔女の宅急便』英語版でキキ役の声を吹き替えているらしい。

2005-05-22 00:29 [topic] | Permanent link | Comments (0)

2005-05-21

『ザ・インタープリター』

The Interpreter / 2005年 / 米国 / 監督: シドニー・ポラック

脚本にスティーヴン・ザイリアン、撮影にダリウス・コンディが参加しているのでそれなりに期待していたのだけれど、いまひとつの内容。

国連本部に渦巻く謀略、という題材を絵空事のスリラーの設定としてだけではなく、ある程度真剣に取り上げようとしているのが中途半端で上滑りしている。ニコール・キッドマンが実はアフリカの某国出身で反政府テロ組織とつながりがあるらしい、なんて言われても「え、何の話ですか?」としか思えないし、ショーン・ペンの抱える喪失感はいかにも取って付けた設定のように見える。俳優が深刻ぶって演じれば演じるほど白々しく見えてしまうという点で、ショーン・ペンとナオミ・ワッツの共演した『21g』を思い出した。

共演といえば、この映画はニコール・キッドマンとショーン・ペンが会話する場面ではやたら小刻みの切り返しが続いて、ふたりの顔が同じ画面におさまったのをろくに見た記憶がない(鏡ごしにショーン・ペンの顔が画面に入っている場面はあったけれど)。いまや大物になった同士の共演ということで、『ヒート』みたいな方式なんだろうか。[★★★]

2005-05-21 23:54 [movie] | Permanent link | Comments (0)

今年のカンヌ映画祭出品作の評判

この星取表を信用すると、今のところコンペ部門ではガス・ヴァン・サントの"Last Days"とダルデンヌ兄弟の"L' Enfant"が軒並み高評価、あとクローネンバーグとハネケあたりも続いて好評という感じか。実は一番人気なのがコンペ外のウディ・アレンの新作"Match Point"(スカーレット・ヨハンソン主演)で、アレン久々の快作なのかもしれない(ウディ・アレンは作品に優劣をつける趣向が好きじゃないので、コンペ部門への出品は辞退しているらしい)。いずれにしても、評判の良さそうな作品がいくつもあるので日本公開されるのが楽しみ。

2005-05-21 08:14 [topic] | Permanent link | Comments (0)

『キングダム・オブ・ヘブン』

Kingdom of Heaven / 2005年 / 米国 / 監督: リドリー・スコット

このご時世にわざわざ中世の十字軍を取り上げたうえで、イスラムの英雄サラディンを讃え、エルサレムの束の間の和平をキリスト教徒側の偏狭さが反故にしてしまったことを嘆く……という結構な野心作なのだけれど、どうも展開がぎこちないのが惜しい。主役のオーランド・ブルームが「平民(鍛冶屋)→騎士→英雄」という急展開の出世を遂げるにもかかわらず、転機となる場面が充分に示されないので「突然、英雄になった」ようにしか見えない。『ギャング・オブ・ニューヨーク』のレオナルド・ディカプリオのようだと思ってしまった。もともとエルサレム王とサラディンを賢君・英雄として見せるための狂言回しの役割なのだとしても、これでは性格付けが不充分だと思う。ヒロインのエヴァ・グリーンはさらに終始何を考えているのかわからず、主人公の中東旅行の「景品」の役割くらいしか果たしていない。

とはいえ、例えば『ラスト・サムライ』みたいな「いや、そんなものを賛美されても……」という困ったことはしていないので、そこは安心して見られる。騎馬戦と攻城戦(というか投石機合戦)はとにかく規模が大きくて壮観なので、一見の価値はあるかもしれない。実を言うとこういうのはつい「どこまでがCGなんだろう?」と終始疑うようになってしまったのだけれど。

仮面のエルサレム国王は風格があって、誰なのかと思っていたらエドワード・ノートンだったのか。この役で助演男優賞とか獲ったら格好良い。[★★★]

2005-05-21 00:18 [movie] | Permanent link | Comments (0)

Page 5/30: « 1 2 3 4 5 6 7 8 9