2005-06-08

『ミーン・ガールズ』

amazon: ミーン・ガールズ

Mean Girls / 2004年 / 米国 / 監督: マーク・ウォーターズ

今年のMTV Movie Awardsでも好評、ティーンズ映画としては評判の良い作品みたいなのだけれど、主人公のモノローグによる説明が多くて辟易してしまった。もうちょっと何とかならなかったんだろうか。

「アフリカ帰りの転校生」の視点から学校内の階級制度・権力闘争を茶化して描く諷刺コメディみたいな映画で、その体制を象徴するのが「プラスティックス」と呼ばれる意地悪三人娘なのは『ヘザース ベロニカの熱い日』(1989年)を思い出させる。監督のマーク・ウォーターズは『ヘザース』の脚本を書いたダニエル・ウォーターズの弟なのだそうで、ということはこれは「15年後の『ヘザース』」を目指した作品なんだろうか。ただしこの映画は『ヘザース』ほどハチャメチャな展開にはならなくて、比較的健全なところに収まる。(でも、この映画の設定なら学園版『赤い収穫』みたいなのもやれるかもしれない)

アメリカの学園に身を置いていない部外者からすると、この映画の程度だとちょっと諷刺が甘いように思える。例えば主人公の仕掛ける悪戯、「足用のクリームを顔に塗らせる」なんて面白いだろうか? そういう些細なところでの共感に引っ掛けようとするエピソードが多い。

主人公のリンジー・ローハンをはじめ、女の子は誰ひとり可愛く撮られていなくて、かわりに「眼鏡の美人教師」役のティナ・フェイ(本作の脚本も書いているらしい)がやけに目立って綺麗に見える。奇妙な映画だ。まあ、これは狙ってやっているんだろう。[★★]

2005-06-08 00:21 [movie] | Permanent link | Comments (0)

2005-06-06

『心の鼓動』

Kammerflimmern / 2004年 / ドイツ / 監督: ヘンドリック・ヘルツェマン

いま開催中のドイツ映画祭2005(有楽町)で上映されていた日本未公開のドイツ映画。

心に傷を抱えた救急隊員の青年が、仕事で出会った臨月の妊婦に「あなたこそ運命の人」と求愛しはじめる映画。場面ごとに見ると悪くないのだけれど、全体を通して、自動車事故、救命行為、スケボー、出産といったモチーフが、作者の中では結びついているのだろうけれどこちらまでその関連性が伝わってこない。観念的な印象を受ける青春映画だった。ただし、臨月の妊婦との性行為を正面から描くというマニアックな領域に踏み込んでいるところは買える。

主人公の友人役の顔に見覚えがあると思ったら、『グッバイ、レーニン!』でも「主人公の親友」の役を演じていたフロリアン・ルーカスという俳優だった。

会場には監督のヘンドリック・ヘルツェマンが舞台挨拶に来ていて、上映後にいくつか質疑応答にも応じていた。これが初監督作なのだそうで、若くてスマートな外見の人だった。作品自体には正直なところあまり感心しなかったけれど、この「ドイツ映画祭」はさほど混んでもいなくて気軽に映画祭気分を味わえるので、割とお薦め。他の作品も見てみたくなった。[★★]

2005-06-06 22:01 [movie] | Permanent link | Comments (0)

『フォーガットン』

The Forgotten / 2004年 / 米国 / 監督: ジョゼフ・ルーベン

久しぶりに更新してこんな映画の話か、という感じだけれど、早く書いておかないと即刻記憶から消え去ってしまいそうなので仕方ない。

内容はさておき、ここまで堂々たるバカミス映画が平然と公開されたのか……という事実に呆然とする怪作で、やはりシャマランはアメリカ映画界における「バカミス映画の扉」を開けてしまったんだろうか。というか、「xxx」が出てきた時点で既にミステリとは言いにくいのだけれど。

どう見てもC級電波ストーリーの筋書きをあたかもシリアスドラマのように演出していく手法は、誰でも一連のM・ナイト・シャマラン監督作品を連想するだろう(窮地にある男がなぜか食糧として安いスナック菓子ばかり買い込んでくるのは、『サイン』の「チキン・テリヤキ」へのオマージュか?)。実際、都市の空撮や室内場面は悪くない、むしろそれなりに立派な出来映えに見える。ただし、映画全体がその「物語内容と演出の落差」の一点に依存しているので、ある時点を過ぎると一発ギャグの繰り返しを見ているような気分になってしだいに飽きてくる。要するに「狙いすぎ」ではないかと思う。シャマランの映画には、もしかするとここで何か深遠なことが起こっているのではないか、と錯覚させるだけの画面の強度と不可思議さがあると思うのだけれど、この映画はほとんど筋書きを説明しているだけで、そういった図式におさまらないような途中の厚みに欠けるのが物足りない。

舞台がニューヨークなのもあって『ローズマリーの赤ちゃん』を下敷きにしているように思えるけれど、あまり深く考えても仕方ない映画ではある。ジュリアン・ムーアとかゲイリー・シニーズが真面目な顔で演技をしているのは、よくやるよという感じ。[★★]

2005-06-06 07:49 [movie] | Permanent link | Comments (0)

2005-05-24

米国TIME誌の選ぶ名作映画100本

選出作品リストを見ると、セルジオ・レオーネが2作入っていて(『続・夕陽のガンマン』と『ウエスタン』)人気あるんだなあと思う。意外にコーエン兄弟の『ミラーズ・クロッシング』が選ばれていたりする。

2005-05-24 08:00 [topic] | Permanent link | Comments (0)

2005-05-23

『Q&A』 恩田陸

Q&A

幻冬舎 / ISBN:4344006232 [amazon]

事件の核心には誰もたどり着けないまま、その周りで関係者があれだこれだと証言を連ねて、我々読者はそれを間接的に伝え聞くことしかできない……つまり『エレファント』のガス・ヴァン・サント監督が言う「群盲象を撫でる」状態だ。恩田陸という人はこの状況が揃えば、きっとどこまでも話を書き継ぐことができるのではないだろうか。

似た趣向の『ユージニア』のほうが全体の構成が凝っていて個々のエピソードの密度も上回っているとは思うけれど、この作品の無個性な街中のスーパーマーケットという舞台設定の良さや、地下鉄サリン事件をそのままなぞったような展開が出てくる不敵さ(村上春樹の『アンダーグラウンド』を参考にしているんだろうか……)も捨てがたい。後半になるといつのまにか電波・陰謀論が繰り出されて話が拡散していくところなど、ひとりで書いたリレー小説を読んでいるような感じもある。

恩田陸の作品では評判の『夜のピクニック』よりも、どちらかといえばこの『Q&A』や『ユージニア』のほうが興味深く読めるのだけれど、それはこの2作品が恩田陸の小説作法そのものを作品の構造として取り入れているように見えるからだ。読者は物語の中心にいつまでも直接触れることはできず、その周りをぐるぐると巡り続けるしかない。舞台になるスーパーマーケットの建物は巨大なブラックボックスのように思えてくる。しかし、それをむりやり開けようとしても仕方ない。ヒッチコックのいわゆる「マクガフィン」みたいなもので、そもそもそこには最初から何も入っていなかったはずなのだ。

2005-05-23 22:52 [book] | Permanent link | Comments (0)

Page 4/30: « 1 2 3 4 5 6 7 8