2005-04-28

荒木先生も公認の関係

『続・夕陽のガンマン』の感想で書き忘れたのだけれど、あの映画に出てくる人物の漫画的なキャラの立ち具合はどこか『ジョジョの奇妙な冒険』を思い出させる。イーストウッドの無愛想さと要領の良さは第三部の主人公「空条承太郎」のようだし、承太郎の周りにはだいたいイーライ・ウォラックのようにひたすら小細工を弄して損な目を見る道化者キャラが出てくる。

週刊少年「荒木飛呂彦」 100の質問の記事によると、

Q77: 空条承太郎を演じるとすれば誰?

A: イメージで描いたのはクリント・イーストウッド、走ったりしないところが

なのだそうで、イーストウッド=空条承太郎というのは荒木飛呂彦自身がもともと念頭に置いていたのか。その他にも場面ごとの強烈なはったり感覚や台詞回しに通じるものを感じるので、『ジョジョ』好きな人は気に入りやすいのではないかと思う。

2005-04-28 22:24 [topic] | Permanent link | Comments (0)

2005-04-27

『続・夕陽のガンマン』

amazon: 続 夕陽のガンマン

The Good, the Bad and the Ugly / 1966年 / イタリア / 監督: セルジオ・レオーネ / 音楽: エンニオ・モリコーネ

マカロニ・ウェスタン初心者なので、墓場で決闘が始まったと思ったらいつのまにか周りが円形闘技場のように丸く開けていて、モリコーネの音楽が猛烈に場面を盛り上げる、といった感じのイタリア的はったりにしびれる。

原題は「善い奴、悪い奴、狡い奴」なのだけど、イーストウッドとイーライ・ウォラックとリー・バン・クリーフの三人とも金目当てで動いていて誰も正義の味方に見えないので、どちらかというと「悪党たちのジャムセッション」という感じのような……。

個々の場面ごとに見るとたいへん見事で、大仰な演出のなかにユーモアもあって素晴らしいのだけれど、話のつなぎがぎこちないので3時間は多少長く感じるのも否めない。物語が偶然の出来事で次の段階へ進むことが多いし、場面が転換するたびに、ある見せ場に向かって登場人物がそれぞれ段取りをこなしていく……という展開が繰り返されて、TVゲームのRPGみたいに思える(これは宝探しの話だからある程度仕方ない面もあるのだろうけど)。例えば『ワイルドバンチ』でも同じような「橋の大爆破」が描かれていたけれど、それはストーリーラインの流れに沿ったもので、この映画ほど「寄り道」の感じを与えるものではなかったと思う。そんなわけで留保したい点もあるけれど、出てくるキャラクターが漫画的に立ちまくっていて堪能できる。[★★★★]

2005-04-27 23:45 [movie] | Permanent link | Comments (32)

2005-04-26

『独立愚連隊』

amazon: 独立愚連隊

1959年 / 日本 / 監督・脚本: 岡本喜八

これは満州を「西部の荒野」に見立てた日本版ウェスタン活劇で、たいへん面白かった。何と言っても佐藤允の演じる主人公の陽気で軽やかな魅力が素晴らしい。こんなに曇りのないヒーローを見たのは久しぶりの気がする。

前半は部隊内で起きた変死事件の真相を主人公がかぎ回る「探偵小説ごっこ」を続けながら人物を紹介していって、終盤にようやく題名の「独立愚連隊」の活劇が出てくる。そのあたり何となく構成がぎこちない気もするけれど(ヒロインの雪村いづみも何のために出てきたのかという役回りだし)、個々の場面やキャラクター造型は面白いのでさほど気にならない。クライマックスでは『ワイルドバンチ』ばりの(というか10年早い)皆殺し銃撃場面まで出てきて、昔の日本映画ではこんな作品も作られていたのかと感心した。

この映画の設定だと中国人は西部劇における「インディアンまたはメキシコ人」にあたるわけで、従軍慰安婦の扱いも含めて、現代では政治的にきなくさすぎて到底製作不可能な題材だろう(その点は内田樹の「おとぼけ映画批評」でも詳しく指摘されている)。そういった規制のかかっていない大らかな心地良さも含めて、いま見ても貴重な歴史遺産として愉しめる。[★★★★]

2005-04-26 21:51 [movie] | Permanent link | Comments (2)

2005-04-25

『海を飛ぶ夢』

Mar adentro / 2004年 / スペイン / 監督: アレハンドロ・アメナーバル

アレハンドロ・アメナーバル監督はこれまで無茶っぽいスリラー映画を作る若手監督という印象があったので、その新作が尊厳死をめぐるシリアスドラマというのは意外だったのだけれど、これは感傷や結論を押しつけない秀作になっていて良かった。主人公役のハビエル・バルデムはただならぬ気高さを漂わせていて、他の出演者も本当にこんな人がいそうだと思える説得力のある顔ぶれで隙がない。

よく考えると、過去の作品『オープン・ユア・アイズ』や『アザーズ』も生死の狭間にいる主人公を描いていることでは通じるので、監督自身のなかでは一貫した題材選びなのかもしれない。

この映画で立派だと感じるのは、自分よりも哀れな境遇の他人を見て同情するという、「感動作」にありがちな態度をいっさい取っていないところで、その考え方は主人公と甥が何度か交わす会話に端的に示されている。ここで主人公が伝えようとしているのは、もし自分が相手と立場を交換したらどう思うだろうか、と考える想像力を持ちなさいということだろう。それは相手に「共感する」ことと同じではないし、この映画は自死を願う主人公に共感できるような描き方は必ずしもしていない。そうした自分以外の他者の立場を想像する「反実仮想」を実践するということが、フィクションの映画(たとえ実話が元でも、俳優が演じるのならフィクションには違いない)をわざわざ作ることにどんな価値があるのかという問いへの監督なりの回答でもあるように感じられた。(まあ、そのあたりを台詞でじかに語ってしまうのは弱いかもしれないけれど)

頭部しか動かせない寝たきりの主人公が死を願う映画といえば『ジョニーは戦場へ行った』を連想する。この『海を飛ぶ夢』は『ジョニーは戦場へ行った』(これは四肢に加えて目・耳・喉を失った青年が「死なせてくれ!」と絶叫する、まさに極限の暗黒映画)のようにあざとく悲惨さを強調した映画ではないけれど、自ら死を選ぶことが願いを叶えるハッピーエンドになるというのはやはり居心地の悪い感じが残る。後半に描かれる「自殺の権利を認めさせようとする」裁判などは、例えばアントニイ・バークリー『試行錯誤』の「主人公が有罪(=絞首刑)になるために四苦八苦する」というブラック・コメディ裁判とそう変わらないだろう。ついでにいえばこのあたり、主人公の反キリスト教的な主張がカトリック社会の倫理を攪乱する『異邦人』な感じとか、自殺予告をした人が知らぬ間に支持運動を呼んでしまう『群衆』な感じもあって、それぞれ面白い。この難しそうな話を映画はさらりと当たり前のドラマとして(宗教的になることもなく)描いていて、共感のできる視点だと思った。ホラーやSF風の作品を手がけてきた監督ならではの醒めた見方なのかもしれない。[★★★★]

2005-04-25 23:37 [movie] | Permanent link | Comments (0)

2005-04-24

岡本喜八オールナイト第3夜: 「お国のために」なんてクソくらえ!

先の週末は浅草東宝オールナイト企画、岡本喜八監督特集の第3弾(上映作品: 『日本のいちばん長い日』『肉弾』『江分利満氏の優雅な生活』『大誘拐』)に行っていたので、いまさらながら感想でも。(今週は行かなかった)

■『日本のいちばん長い日』(1967年)

橋本忍脚本。劇場スタッフの解説によると、もともと別の監督(小林正樹)が手がける予定だったのが降板してお鉢が回ってきた企画らしい。オールスター大作のうえ実話再現ドラマという趣向なので窮屈そうな感じもあるけれど、飛行兵の出撃を見送る女声合唱が別の室内場面に重なる、といった音楽的な演出がいくつかあるのは面白い。ただ結局、僕がもともと愛国心に欠けるせいなのか、この題材(終戦放送の裏話)に歴史の勉強という以上の興味は湧かなかった。反乱将校の中心人物で、直情型の熱血陸軍将校という類型をひとりで背負って浮きまくっている黒沢年男の畑中少佐は実在の人物なのか気になった(後で調べたら名前は同じでも年齢や人物像はだいぶ変えてあるらしい)。[★★★]

■『肉弾』(1968年)

『日本のいちばん長い日』の日本政府上層部に対して、無名の一兵卒の視点から終戦を描いた映画。この日に見た作品ではこれが一番良かった。過酷な軍隊生活をユーモアでやり過ごそうとする前半部の軽やかさが特に素晴らしくて、少し見ているだけで主人公を好きにならずにいられなくなる。後半はその軽妙さを押しつぶして「戦中派」の叫びが声高に語られるようになり、心象風景もしつこくて正直なところ表現として古く見えるのは否めない。でも監督の心情としてはこれをやらずにはいられなかったんだろうから仕方ないか。

語り手が第三者として主人公(「あいつ」)の思い出を語るという構造なのだけれど、明らかに自分の「分身」としてその内面を代弁しはじめるねじれた感じもある。普通ならそれは破綻といえるのだけれど、この作品では当時の自分が同じ道をたどっていたかもしれない若者を描くという監督の切実な意志を感じられる。

「大したことはない。本当に大したことはない。」と言い聞かせるように繰り返すところが『スローターハウス5』の「そういうものだ。」を思い出させる。『ジョニーは戦場へ行った』や『スローターハウス5』のような「見捨てられた兵士の悲痛」の日本版にあたるのがこの作品ではないかという気がする(ちなみに、『スローターハウス5』作者のカート・ヴォネガットと映画版監督のジョージ・ロイ・ヒルは1922年、岡本喜八は1924年生まれなのでほぼ同世代)。[★★★★]

■『江分利満氏の優雅な生活』(1963年)

映画の後半、主人公の戦中派オヤジの演説に若手社員が朝まで延々と付き合わされる場面があるのだけれど、それはこのオールナイト上映企画のことでもあるのだろうか……。

戦後日本の平和は無数の戦死者たちの犠牲の上に築かれている、と主張する「戦中派」の岡本喜八監督の外部的な視点が入ることで、結果的に当時の日本の平均的な中流サラリーマン生活を描いた「歴史映画」としていまでも古びずに見られる。アメリカ人の同居人による異文化の視点が入るところなど、戦後社会の市民生活に外部から突っ込みを入れていこうという感じが計算されているのがわかる。

『肉弾』と続けて見ると、『肉弾』の主人公と同じような境遇でたまたま生き残ったのが江分利満氏なのかもしれない、と思う。

『江分利満氏の優雅な生活』と『肉弾』の主人公はどちらも眼鏡をかけていて、単にかけているだけではなく眼鏡がその人物像の一部を形成しているように見える(岡本喜八監督自身も眼鏡をかけていたようだから、監督の分身という意味もあるのだろう)。眼鏡は自分の内面を隠して、周りの世間との間に距離を置くようにする性格を表しているのだと思う。そうした一見シニカルな態度が映画のなかでは、自分を茶化すことのできる客観的なナレーションと、シリアスな現実を戯画化して伝えるアニメーションという手段で表現される。[★★★★]

■『大誘拐 Rainbow Kids』(1991年)

天藤真の原作の映画化なのでなじみのある題名だけれど、これだけ1990年代の作品で製作時期が後になるせいか、上の3作に較べると単にTV的な演出のサスペンスという印象で、だらだらとした説明が多いのもあって画面の強度は大幅に落ちる。

誘拐犯と被害者の立場が主客転倒するという基本構想は面白いものの、物語の中心人物になる老婆(北林谷栄)が作中の台詞でやたら大物扱いされて持ち上げられるわりに、実際の画面ではそれだけの存在感が出ていなくて弱い。誘拐犯の主犯格に風間トオルの顔を見つけて、かつての「トレンディドラマ」という言葉を思い出した。

今回の上映企画のテーマ(「お国のために」なんてクソくらえ!)とどのように結びつくのか、最後になってわかるという趣向は気が利いている。[★★★]

2005-04-24 07:35 [movie] | Permanent link | Comments (2)

『さよなら、さよならハリウッド』

Hollywood Ending / 2002年 / 米国 / 監督・脚本:ウディ・アレン

ウディ・アレンの3年前の作品がなぜか遅れて日本公開。今回は『ブロードウェイと銃弾』みたいな映画内幕ものということで期待できるかと思ったものの、近年の『おいしい生活』や『スコルピオンの恋まじない』と変わらず、ウディ・アレンの衰えぶりが目立つ出涸らしの自己パロディという感じだった。

「目が見えないのを隠し通そうとする」という単純なシチュエーション・コメディを演じるだけでいまのアレンが2時間を持たせるのは苦しいようで、「誰もいない方向に話しかける」というギャグをワンパターンに繰り返すだけでまったく笑えない。潔く開き直って「老人コメディ」という分野を開拓しようとしているようにも見えないし……。ヒロインのティア・レオーニをはじめとする脇役の造型も冴えなかった。

年上のクリント・イーストウッドがまだ現役ばりばりの活躍を見せているだけに、アレンにももうひと花くらい咲かせてほしいものだけれど、このぶんだと厳しいかなあ。[★★]

2005-04-24 00:17 [movie] | Permanent link | Comments (0)

2005-04-23

『コンスタンティン』

Constantine / 2005年 / 米国 / 監督: フランシス・ローレンス

霊界探偵・キアヌ君が妖魔と戦い、窮地になると地獄から「ザ・ワールド」使いを召還する少年ジャンプ映画。というか主人公の名前が「J.C.(=救世主)」だとかのキリスト教要素を抜きにすると、日本の伝奇漫画では類似作品多数と思われる。アメコミの映画化らしいけど、どこも似たようなことをやっているんですね。

映画本編は、やりたいことはおおむね了解できるのだけどいまひとつ中途半端で締まりがない。まず導入部で描かれる双子の片割れ、イサベルの怪死事件の解決を引っ張りすぎていたりと、物語の流れが良くない。キアヌ・リーブスは「ニヒルなヒーロー」に必要な「苦虫を噛みつぶしたような表情」が似合っていないし、ヒロインのレイチェル・ワイズに惹かれているように微塵も見えないのが困る。他の候補者はいなかったんだろうか。レイチェル・ワイズは何度もずぶ濡れにされるわりにあまり色っぽく見えない。この人はわりと好きな女優なのだけれど、同じ映画内で綺麗に見えるときとどうでも良いときの振り幅が大きい気がする。

終盤15分でティルダ・スウィントンとピーター・ストーメアの扮する狂ったキャラがいきなり登場して暴れ出すところは怪作コスプレ映画みたいで面白いので、ここまでをもうちょっとテンポ良く見せてくれたらと思う。荒唐無稽なオカルト探偵ものでは『エンゼル・ハート』のほうが良かった。ちなみに、せっかくガブリエルとサタンが出てくるのに「神」は姿を現さないのだけれど、『ブルース・オールマイティ』によれば「神=モーガン・フリーマン」ということになるはずだ。

ところで、eiga.comのフランシス・ローレンス監督インタビューによると、今後の監督予定作としてはチャック・パラニュークの『サバイバー』を映画化する企画があるらしい。[★★★]

2005-04-23 13:06 [movie] | Permanent link | Comments (1)

2005-04-22

『リリア 4-ever』

Lilja 4-ever / 2002年 / スウェーデン・デンマーク / 監督・脚本: ルーカス・ムーディソン

『ボーン・スプレマシー』の終盤に登場して印象的だったロシアの少女、オクサナ・アキンシナの主演作品。日本では劇場未公開・DVD未発売ながら、CSのシネフィル・イマジカで放送していたので見られた。

冒頭の場面、身投げをしようとする少女の切迫した姿を映した後で、そこに至るまでの顛末が順々に語られていく。我々観客は主人公が母親に見捨てられ、さらに悲惨な目に遭っていくのをただ黙って見ていることしかできない(「そっちへ行っちゃいけない……」と思いながら)。観客にどれだけ衝撃を与えられるかを狙って作られている映画で、鑑賞後には『隣の家の少女』のような重苦しい気分が残る。ルーカス・ムーディソン監督がもともと手持ちカメラでの撮影など、ラース・フォン・トリアーに近い撮り方をしている監督なのを思い出した(製作国にデンマークも入っているし)。

ルーカス・ムーディソンは前2作の『ショー・ミー・ラヴ』『エヴァとステファンとすてきな家族』で、社会になじめず疎外された人々が仲間を見つけて救われるところを描いていたけれど、今度はそういうセーフティ・ネットの届かない過酷な現実がありうることを描きたくなったということだろうか。ここまで方向転換すると次はどこへ行くのか気になる。

作中、主人公に与えられる食事として見慣れたマクドナルドの商標が何度か出てくる。そのたびに、これは絵空事ではなく、現実に僕達の消費生活や経済とつながっている世界の話なんだと知ることになる。

ただ個人的には、この作品のように青少年が不幸な役柄を演じる映画を実写で見ると、本人はどう感じているのだろうかと気になってたまに物語から醒めてしまうことがある。この作品もいくらかそういうところがあって、例えばラース・フォン・トリアーみたいにどこまで本気かわからないような作劇をしていればそれでも気にならないのだろうけれど、これは基本的にリアリズム一本調子の映画なのでちょっと苦しい。あと、幻想シーンの入れ方がいかにもどこかで見たような感じでわざとらしいのが気になった。とはいえ、特に中盤あたりのいつ不幸に転調するのかわからない不安感は忘れられない。[★★★]

2005-04-22 00:10 [movie] | Permanent link | Comments (0)

2005-04-15

『キートンのセブン・チャンス』

amazon: キートンのセブン・チャンス

Seven Chances / 1925年 / 米国 / 監督・主演: バスター・キートン

バスター・キートンの映画を見ていると、映画は追う者と追われる者、走る人物と目的地さえあればそれだけで成り立つんだなとひたすらそのシンプルな原理に感心する。『探偵学入門』に「探偵と犯人」が出てくるのはそのためだし、この『セブン・チャンス』の「愛し合うふたりが離れた場所にいる」という状況もまさにその通りだ。

『探偵学入門』は乗り物を使った追いかけっこの原点という感じがあったけれど、『セブン・チャンス』は話がどんどんふくらんで「やたら数が多くなる」こと自体で笑わせる、という手法を追究した開祖かもしれない。

バスター・キートンの現実離れした運動能力と無表情な外見、そして不死身ぶりは、いま見ると生身の人間というよりアニメの世界の人物のように見える。実際、僕が去年見た映画でバスター・キートンの作品にいちばん近いと思うのは、アニメ映画の『ベルヴィル・ランデブー』だった。(台詞のないサイレント風映画だからというのもあるけれど)[★★★★]

2005-04-15 01:25 [movie] | Permanent link | Comments (0)

『ああ爆弾』

1964年 / 日本 / 監督・脚本: 岡本喜八

CSの日本映画専門チャンネルで放映していたので視聴。爆弾騒ぎ(=戦争の名残り?)で戦後市民社会を攪乱する昭和ミュージカル・コメディ。冒頭の「能」パロディの馬鹿馬鹿しさに乗れるかどうかで評価が分かれるのではないだろうか。個人的にはそのあたりはちょっとついていけなかったのだけれど、銀行や選挙運動などのいかにも「昭和」な市民社会の風景が突如どたばたコメディやミュージカルの場として解体されていくところは、何か異様なものを目にしてしまったという感じで面白い。「万年筆」の騒動を「ゴルフボール」でもういちど繰り返す脚本の展開が、多少ひねりに欠けて弱いかもしれない。原作がなぜかコーネル・ウールリッチというのが意味なくて笑える。[★★★★]

2005-04-15 00:27 [movie] | Permanent link | Comments (0)

2005-04-12

bk1リニューアルオープン

オンライン書店ビーケーワンがリニューアルオープン。試しに使ってみたら、常用しているブラウザのOpera 8(beta)でも買い物ができるようになっていたので安心した。(リニューアル前はなぜか相性が悪く、購入の操作ができなかった)

商品個別ページのURLがISBNベースになると便利そうな気がしたのだけど、さすがにそこまで全面的に改装するのは無理か。

オンライン書店ビーケーワン: ガイド&ヘルプ>ご利用ガイドによると、これまでの検索フォームは使えなくなるので、新しいのを準備中らしい。

2005-04-12 23:58 [topic] | Permanent link | Comments (0)

『ガール・ネクスト・ドア』

amazon: ガール・ネクスト・ドア

The Girl Next Door / 2004年 / 米国 / 監督: ルーク・グリーンフィールド

あのジャック・ケッチャム先生の鬼畜小説[amazon]を遂に映画化……というわけでは無論なく、もし隣の家にエロいお姉さんが引っ越してきたら、という男子中高生の妄想を具現化したお気楽青春映画。連続TVドラマ『24』で主人公の娘を演じていたエリシャ・カスバートがヒロインのせいか、TSUTAYAでは大量入荷されているようだ。

そのエリシャ・カスバートは『24』に続いて安い色気を振りまいているのが役柄に合っていて良く(『ビデオドローム』のデボラ・ハリーに似ている気もする)、『スパイダーマン』のキルステン・ダンストではいまひとつ萌えられないという欲求不満の男子にお薦めできる。作品自体も意外にきちんと筋立てをまとめていて愉しめた。結末に向かう伏線もそれなりに張ってある。

主人公の男子高校生(エミール・ハーシュ)を単なるボンクラではなく生徒会長を務めるエリート志向の優等生という設定にしているのがこの種の青春映画では目新しい感じで、ちょっと漫画の『東京大学物語』を思い出した(主人公はもちろん妄想癖が激しい)。あと、たまたま最近読んだ漫画の安達哲『さくらの唄』と展開がいくらか重なる。『さくらの唄』では「文化祭で実録ボルノビデオを上映する」、『ガール・ネクスト・ドア』では「プロム(卒業パーティ)で実録風ボルノビデオを撮影する」というクライマックスを経て、それぞれ主人公が人生の次のステージへ踏み出すことになる。

ただ、もともと主人公が着替えを覗いて発情したというだけの話がいつのまにか「真実の愛」の美名にすり替わっていたりとか、ヒロインは元ポルノスターなんだから主人公が貯めた「基金」に相当する資金くらいはきっと持っているんじゃないかとか、ポルノ的な御都合主義から脱しきれていないのも否めないので、あまり胸を張って褒める気にはならないのだけれど。[★★★★]

2005-04-12 23:07 [movie] | Permanent link | Comments (2)

2005-04-09

『キートンの探偵学入門』

amazon: キートンの探偵学入門

Sherlock Jr. / 1924年 / 米国 / 監督・主演: バスター・キートン

サイレント時代の名作とされる映画だけど、本当に映画の教科書のような作品で素晴らしかった。単純に「これはどうやって撮っているんだろう」と呆気に取られてしまうような活劇場面が次々と手品のごとく披露されて目を離せないし、列車・自転車・自動車という乗り物を登場させたうえでそれぞれ意表を突いた使い方をしているのも見事。さらに「映画=夢の世界」という視点を織り込んで、それを乗り越えた地点までを示す映画論にもなっている。

この名作の主人公(バスター・キートン)が「名探偵」に憧れる見習い探偵という設定になっているのを、いちミステリ読者としては素直に喜びたい(『探偵術教えます』を思い出した)。腕力がなくてもヒーローになれる存在が「名探偵」だからだろうか。

とにかくどこを見ても、映画の面白さとはこういうものなんだと納得させられる。至福の50分間でした。[★★★★★]

2005-04-09 23:22 [movie] | Permanent link | Comments (0)

2005-04-05

2005年本屋大賞に『夜のピクニック』

それはともかく本屋大賞のサイト、写真がぼけぼけなのは何とかならないのだろうか……*1。作品の関連記事では、『波』掲載の著者インタビュー「書くべき時に書けた高校三部作の完結編: 恩田陸『夜のピクニック』」というのがあった。

『夜のピクニック』も悪くないけど個人的には近作の『ユージニア』のほうが面白かったかな。『セバスチャン・ナイトの真実の生涯』や『エドウィン・マルハウス』など、幻の本の周りをぐるぐる回って結局その本は出てこない、という趣向の小説が好きなせいもあるかもしれないけれど。ついでに、長らく積読にしていた『三月は深き紅の淵を』をそろそろ読もうかと思ったものの、本を持っているはずなのに出てこない。

*1: 別の写真に替わったようです。(4/6 追記)

2005-04-05 22:20 [topic] | Permanent link | Comments (0)

2005-04-03

『スウィングガールズ』

amazon: スウィングガールズ

2004年 / 日本 / 監督・脚本: 矢口史靖

オヤジ趣味(ジャズ)と女子高生を組み合わせれば受けるはず!という目論見がずばり的中した見事なマーケティング映画だけど、普通に愉しく見られた。舞台を東北の片田舎にしているのがうまい設定だなと思う。(都会の子はきっと忙しいのでそんなのやらないだろう)

基本的には最後の演奏会を見せるための映画で、それまではコント集みたいな展開をつないで登場人物たちのバックステージを紹介していく。この過程が「ジャズの面白さを初心者に紹介する」ことともっと結びついていると良かったのだけど、必ずしもそうなっていないのがちょっと物足りないところ(音楽と関係のないエピソードも多かったし……)。演奏会でいきなり堂々としているのが唐突に見えてしまうのはそのせいもあると思う。

冒頭に描かれる数学の補習の場面、教師も生徒も全然やりたくないのに決まりだから仕方なく形だけ続けている感じが、妙にわかるなあと思った。ここでたぶん大方の共感を得られるので、いかにしてその状況を打破するかという話が(多少もたついても)肩入れできるものになっている。

「止め絵」を基調にした漫画っぽい演出には賛否がありそうだけど、この映画くらいだと僕の場合は許容範囲。[★★★]

2005-04-03 23:56 [movie] | Permanent link | Comments (0)

『ヒート』

amazon: ヒート

Heat / 1995年 / 米国 / 監督・脚本: マイケル・マン / 撮影: ダンテ・スピノッティ

『ゴッドファーザー Part II』では別々の時間軸にいたアル・パチーノとロバート・デ・ニーロがいまさら邂逅、ひたすら追いかけっこをする映画。警官と泥棒の対決の話で3時間近い(171分)のはやはり長すぎて途中でだれてしまうのは否めないのだけれど、市街地での銃撃戦などアクション場面の迫力と、オープニングからとりわけ夜の場面の映像が素晴らしいので、見どころは多い映画だと思う。主人公ふたり以外の登場人物を描く比重が多いのと、女がらみの停滞をある程度整理してくれたら相当な傑作になるんじゃないだろうか。

アル・パチーノとデ・ニーロは「本人を演じているだけ」のように見えるけれど、まあいまさら別人になられても観客には期待外れだから仕方ないのか。

『インファナル・アフェア』米国版リメイクはマーティン・スコセッシ監督とレオナルド・ディカプリオのコンビが手がけるそうだけれど、この映画を見ると、どちらかというと「男の対決」ということでマイケル・マン向きの題材だったんじゃないかという気がした。[★★★★]

2005-04-03 23:56 [movie] | Permanent link | Comments (0)

2005-04-02

『電波男』と嫌よ嫌よも好きのうち

Beltorchicca4月1日付記事で、本田透『電波男』は『負け犬の遠吠え』の酒井順子先生への「壮大なラブレター」に違いないという説が提唱されていた(な、なんだってー!)。そもそも酒井氏の言動こそがツンデレ属性なのだとか。我々はいわゆる「嫌よ嫌よも好きのうち」を目にしていたわけですね……。

『電波男』[amazon]は一応目を通していて、そのうち感想も書こうかと思っていたのだけれど、これより面白い感想は到底書けそうにないな……。(ちなみに「ツンデレ」という言葉は実のところ『電波男』で初めて知りました)

2005-04-02 23:26 [topic] | Permanent link | Comments (0)

いまさら4月1日の総括

今年の4月1日も腕によりをかけた職人たちによるネタ合戦が繰り広げられたようだけど、もはや笑えるのかどうかもさっぱりわからないという点で、朝鮮日報の「韓日首脳が今日独島で極秘会合!!」が最強ではないだろうか。

2005-04-02 22:44 [topic] | Permanent link | Comments (0)

『ローレライ』

2005年 / 日本 / 監督: 樋口真嗣

映画の日なので一応見てきたのだけど……これはもうだらだらと長いだけで全然面白くない。もっと徹底したオタク活劇なのかと期待していたら、単にフジテレビ得意のブラッカイマーごっこでしかなくてがっかりした。ジェリー・ブラッカイマー製作の潜水艦映画といえば同じく核兵器の使用を阻止しようとする『クリムゾン・タイド』があったし、敵国軍の描写が間抜けで怪しいとか、味方の登場人物が単なるドジによって犠牲になるのをむりやり音楽で盛り上げようとするとか、いかにもブラッカイマー映画を連想させる。

全体の筋書きは、日本政府に反乱を起こした軍人が東京を危機に陥れるという『機動警察パトレイバー2』のパターンを踏襲しているのだけれど、要は作者が勝手に仕掛けた無理筋の作戦計画を阻止するために登場人物が奔走するというマッチポンプ的なものなので、退屈でしかない。また、無粋なことを言うようだけれど我々は「東京に原爆が落ちなかった」歴史を知っているので、

  • 東京に原爆が投下されない → 史実に沿っているから当然の結果
  • 東京に原爆が投下される → 映画のなかだけの単なる絵空事

という感想になってしまい、どちらにしてもサスペンスが生まれない。

演説に時間を食われて戦闘描写が足りず、潜水艦戦闘が始まってもCGがしょぼいので爽快感に乏しい(秘密兵器「ローレライ」も、何がすごいのかろくに示されないまま話が進む)。どこを見ても漫画やアニメの別の作品のほうが面白そうだと思ってしまうので、映画でやる意味はあったんだろうかという気がする。(『ファイナルファンタジー』に出てきそうな格好のヒロインを実写で撮っているのがコスプレ的で面白いくらいだろうか……)

別にすごく嫌いな作品というわけではないし、わざわざ見に行った映画をけなすだけというのは芸がないから気が進まないのだけれど、これは本当に面白いところを見つけるのが困難な作品だった。昨年の『CASSHERN』や『デビルマン』は未見なのだけど、世間の評判からするとこれよりひどいのだろうか。日本の特撮系映画は当分見なくて良さそうだという気がしてきた。[★]

2005-04-02 12:42 [movie] | Permanent link | Comments (20)